韋駄天娘の快走

 続いて競馬の話というのも気がひけるのだが、先々週(11/25)に行なわれたジャパンカップは見所がたくさんあって、大変面白いレースであった。


 まず、ジェンティルドンナとオルフェーブルという2頭がゴール前200mで演じた大接戦は、前回取り上げた凱旋門賞でのオルフェーブルとソレミアの競り合いに勝るとも劣らぬ手に汗握るものであった。さらに、この大接戦が始まるゴール前200mの手前で、自身の走路が狭くなったジェンティルドンナは、オルフェーブルに何度か体当たりを見せて自身の走路を確保しており、これに関する審議がレース後20分間以上も続いた。そして、審議結果は着順に変更なく、オルフェーブルは凱旋門賞に続いてまたも2着(しかも今回はハナ差)となったのである。


 とりわけ、ジェンティルドンナのオルフェーブルに対する走路妨害は、レースビデオでは斜め位置で少しわかりにくいのだが、パトロールビデオをみるとかなり強い当たり方をしており、降着となってもおかしくなかったように思う。負けた池添騎手が「あれがなければ勝っていた」と判定に対する不満を露わにし、買った岩田騎手にも笑顔がなかったというのはこの辺の事情をよく物語っている。降着とならなかったのは、その前にオルフェーブルがややジェンティルドンナの斜め前方にヨレた末のジェンティルドンナの体当たりであり、その後の2頭のたたき合いを見てもオルフェーブルへの著しい影響は見られないとの判断なのであろうが、何とも微妙なところで、その証拠に、岩田騎手は2日間の騎乗停止というペナルティーが課せられている。つまり、サッカーに例えれば、限りなくレッドカードに近いイエローカードということになるのだが、いずれにしても主催者側のわかりやすいい説明が欲しいところであった。


 一方、凱旋門賞でオルフェーブルに勝った仏馬のソレミアは、高速レースが展開される日本の馬場との適応性が不安視されたのか7番人気であったが、予想どおりいいところなしの13着に終わった。海外遠征とはかくも難しいものなのである。


 ところで、ジェンティルドンナは今年の牝馬3冠馬、オルフェーブルは昨年の牡馬3冠馬であるから、適当な例えではないかもしれないが、今回のレースはさしずめオテンバ娘がなみいる男子アスリートを蹴散らしたと言ってもよいであろう。ふつう、牡馬と牝馬がたたき合えば、9割方牡馬が勝つというのは常識であろうから、これをものともしなかったジェンティルドンナはなかなか強い馬であることは確かで、負けたオルフェーブルにしても、相変わらず少々おかしな走り方をしながら、海外遠征後の疲れや、体当たりされた影響をものともせず走りぬいたところは、不思議な魅力を感じる。


 ジェンティドンナは来年以降海外遠征の計画も浮上してきているようだが、オルフェーブルはどうするのだろうか。さしあたって、年末の有馬記念には両馬とも出走する可能性は高い。とすると申し訳ないのだがこのブログは3回続けて競馬の話題になるかもしれない。

(2012/12/05)