本野精吾邸と中村鎮建築研究所京都出張所

   このところ古い建物を見る機会が多く、先だっては以前から見たいと思っていた本野精吾邸を等持院に訪ねた。

   おおよその見当はついていたのだが、実に豊かな緑におおわれて、確認できるのは玄関廻りと玄関右側の側面のみ。大正13(1924)年竣工であり、約90年の歳月がコンクリートブロックの地肌を洗い出しのように変え、何ともいえない風格がある。


 この住宅についてはWEB上でも多くの人が写真や記事を掲載しており、いまさら語ることもないのだが、気になったのは南隣の住宅。少しレトロな洋館風の佇まいながら、道路側の車庫と2階建ての陸屋根部分及び急勾配の屋根はどうも釣り合いがわるく、一目見て増築とわかる構えで、外壁に目を凝らすと、吹付け仕上げにコンクリートブロックの目地がうっすらと浮かび上がっているではないか。原型が判然としないため、これも本野の仕事なのかなと思いながら、その場を後にしたのだが、後ほど調べてみると、これは中村鎮の京都出張所で、本野精吾展のカタログ中にも本野邸とならんで写っている写真が掲載されており、京都工芸繊維大学の笠原一人氏もINAX REPORT中で「本野邸の南側に現存している」と書いておられる。


 そこで、中村建築研究所京都出張所について調べてみたところ、WEB上で調べる限りに於いては詳しく触れられたものはなく、中村式鉄筋コンクリート協会のホームページ中の中村鎮作品一覧表にある中村建築研究所京都出張所の欄も現存印がつけられていない。この建物の設計者が、中村鎮と本野精吾のいずれであるかは判然としないようであるが、本野邸とのデザインの類似から個人的には本野ではないかと思われる。


 いずれにしても、調べる価値はありそうに思うのだが、触れられたものを寡聞にして存じない。この建物に関して何かご存知の方がおりましたらコメントいただければ幸いです。

(2012/06/30)